2011年5月11日水曜日

学校給食に福島県産の牛乳使用==いわき市は市民目線で、ていねいに。

福島県産牛乳は安全なのに、なぜ、いわき市民は不安になったのか?
(bloggerの不具合で最終稿が消えていたので書き直しました)

 4月末に、子供が持ち帰ったお知らせで、福島県産牛乳が学校給食に出される事を知った保護者が不安になり、いわき市へ問い合わせが相次いだ騒動がありました。5月に入っても、保護者の不安が解消されない状況が続いていたようです。
いわき市のホームページに、給食で出した牛乳について記事が出ています。

『いわき市の学校給食について』(2011/4/29付)

学校給食につきましては、現在、従来のような献立での提供が行えず、保護者の皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
また、現在はパンと牛乳の提供となっておりますが、保護者の皆様などから、現在提供しております牛乳や今後使用していく食材についてのお問い合わせを頂いているところです。
牛乳につきましては、国や県の検査により安全性が確認された原乳を使用したものが 流通しているところですが、福島県産の原乳につきましても安全性が確 認されたものが流通しているところであり、福島県内の学校へ牛乳を供給する事業者において、福島県産の原乳を使用することとなったところです。
なお、いわき市の学校給食では、4月25日以降に検査された原乳を使用した牛乳が4月27日以降に供給されておりますが、県の緊急モニタリング検査による4月25日及び4月26日の測定結果は「不検出」となっております。
農林水産物の出荷制限やモニタリング検査結果につきましては、福島県のホームページをご覧ください。


本市の学校給食については、これまでも食品衛生法など関係法令を遵守し、食材の品質や衛生管理の徹底に努めながら、安全で安心な給食を子どもたちに提供してきたところであり、今後においてもその方針が揺らぐことはありません。
食品については、国、県が検査に基づき安全性を確認しており、市としては、当然、安全性が確認されたものを学校給食で提供していくものです。



  この文書で、保護者の不安は解消されるでしょうか。これで不安が消えるとすれば、いわき市政にたいする理解と信頼が高いと、私は思います。



文書には「子供には微量でも放射能で汚染されたミルクを摂取させたくない」と考える保護者に、安心してもらえない要素が3つあります。
  • 安全を裏付けるデータが具体的に分りやすく示されていない。(HPにはデータへのリンクがあるが)
  • 行政は微量の放射能汚染を許容すると疑われている事に対する、対策や配慮が無い。
  • 子供にも親にも拒否する事ができず牛乳の摂取を強制される事態に対する不満への、配慮が無い。
以下で3つを確認してみましょう。

1.いわき市の学校給食のミルクに放射性物質は入っていない。(データを見る)

まず、福島県産牛乳の検査経過です。いわき市の文書にリンクされている福島県産農林水産物の放射能測定の実施結果から、いわき市の原乳調査を約10日ごとに抜粋してみました。
福島県の原乳の調査結果(いわき市 単位Bq/kg)
3/19採取        ヨウ素-131→980   セシウム-134→不検出  セシウム137→ 6.6
3/29採取    ヨウ素-131→  55   セシウム-134→不検出  セシウム137→不検出
4/  7採取      ヨウ素-131→  38   セシウム-134→不検出  セシウム137→不検出
4/  7採取    ヨウ素-131→  16   セシウム-134→不検出  セシウム137→不検出
4/19採取    ヨウ素-131→不検出  セシウム-134→不検出  セシウム137→不検出
4/26採取
      (乳業工場)   ヨウ素-131→不検出   セシウム-134→不検出  セシウム137→不検出
5/10採取
      (乳業工場)   ヨウ素-131→不検出   セシウム-134→不検出  セシウム137→不検出

福島県内の緊急モニタリング結果では、福島市で4月19日にヨウ素131が17.2Bq/kg検出されたのを最後に、以後すべての地域で不検出です。
乳業工場では、県内産の原乳をブレンドして作ります。県内で検査した牧場の牛乳はどこも不検出。さらに、乳業工場でブレンドした牛乳からも不検出ですから、県が検査していない牧場の原乳にも放射性物質は入っていないと推測できます。

ですから、4/27に学校給食で出された福島県産のミルクは、放射性物質が不検出だと思われます。

しかし、学校給食の乳業工場を調査した結果は公表されていません。
保護者の気持ちを思えば、学校給食ミルクの乳業工場で放射性物質を調査して、結果を保護者に知らせる手間をかける事が、いわき市の行政にとって経費と手間のムダだとは思えません。
2.行政は放射能汚染を許容するのでは?と市民が疑念。

3月に東京都で水道水が放射能汚染のため乳児の摂取制限が行われた時、乳児以外はヨウ素131=300Bq セシウム=200Bqが暫定基準値であると報道があり、行政は、暫定基準を下回っていれば飲んでも大丈夫と広報していました。
さらに、農産物の暫定基準値も同じ数字で広報していたので、今回、原乳が基準値を下回ったので安全を確認した言っても、放射性物質が入っているのではないか、どれだけ入っているのだろうと保護者が不安になったのではないでしょうか。

国の暫定基準値はあっても、いわき市の行政は主体的に市民を守ってくれると日頃から信頼されていないと、市民は疑問を抱きます。

国はヨウ素131=300Bq セシウム=200Bqを摂取制限値としています。いわき市はそれ以下なら放射能に汚染されていても給食に出すのではないか、と保護者が不安になったのです。
「国が…」「県が…」と責任を回避し主体性の無い対応をする、いわき市の行動を保護者は危惧したのです。
3.保護者の意向を置き去り。

子供の予防接種では接種するかどうか保護者に意向確認をしていますが、今回の学校給食の牛乳騒動では、子供の健康に関わる問題なのに保護者の意向は置き去りでした。子供も保護者も飲まない選択肢は与えられないのです。そのため、保護者の理解を得る丁寧さが一層求められるのですが、それが欠けていました。

たしかに、いわき市は安全なミルクを出す状況だったし、正確に伝えていたのです。が、情報と知識を伝えるとき、受け取る立場に配慮する事も大切。難しい問題です。
今回の学校給食の牛乳騒動は、『安全』であっても『安心』できない典型的なケースです。
生命や健康へ危険の恐れがあると不安になり、デマに惑わされやすくなります。行政が丁寧に対応しないと、デマや風評の火種を、行政が自ら作ってしまう危険があります。

福島県産牛乳を学校給食に出す事が、保護者への丁寧な説明を抜いてまで急ぐべきだったか、検証しておくと、いわき市は貴重な教訓を得られるのではないでしょうか。
放射能汚染をめぐる、広報の難しさを象徴する出来事でした。

行政にも、住民にも放射能汚染との戦いは始まったばかりです。
(馬上 雅裕)

2011年5月5日木曜日

原子力発電所の事故を考える時、忘れてはいけない事。

 原子力発電所の事故を住民の視点から見るとき、忘れてはいけないことがあります。
 住民は経済的な理由だけで原子力発電所を受け入れていたのではありません。安全だと言う、国と東京電力を信用していたのです。

 まず、経済的な側面を見ましょう。 
 福島県は近世以降、首都圏(江戸)に農産物、海産物、工芸品、エネルギー、そして労働力を供給してきた地域です。第2次世界大戦で負けた直後は、疎開してきた首都圏の人達を受け入れた事もありました。
 いわきや相馬双葉地域も水産加工品、農産品、木炭、石炭を供給し、大戦間以降は化学工業製品も供給してきました。福島県全体と同じ、首都圏と互恵関係です。

 大きな変化が出たのは、1960年代でした。石炭産業が日本のエネルギー源としての主役から姿を消してしまったのです。木炭も、家庭の熱源から姿を消しました。
 地域経済は大きな柱の一つを失いました。

 いわきでは、1960年代に常磐炭鉱が火力発電所を作って、石炭を燃やし電気にして首都圏にエネルギーを供給したり、巨大な観光施設で雇用を作りました。70年代には、工業団地に工場を誘致しました。200海里で遠洋漁業が大きなダメージを受けたものの、人口減少には歯止めがかかりました。

 しかし双葉地域は、60年代に雇用を大きく確保する産業を育成できず『福島のチベット』と、地元住民が言う状況でした。職を求めて出稼ぎをしたり地域外へ出て行く姿が多かったのです。

 東京電力は50年代は福島県で水力発電を推進し、60年代は原子力発電所建設の準備を進め、70年代に入ると原子力発電所の建設を始めました。福島県は、首都圏にエネルギー供給を再開しました。地域に新しい産業が誕生したのです。
 発電所建設で雇用が生まれ、発電で雇用が維持されました。やがて高速道路が通り、世界的なサッカー施設もできました。出稼ぎしなくてよくなり、地元で就職する事もできて、原子力発電所は、発電開始から40年を経て地域にとって大切な存在となったのです。
 原子力発電所の事故を考えるとき、忘れてはいけないことです。

 もう一つ忘れてはいけないことは、住民に国と東京電力が信用されていた事です。

 70年代に入ると原子力発電に疑問の世論が形成されました。原子力発電は危険だと反対する議論が出て来たのです。住民から見ると、後だしジャンケンのようであり、反対論は玉石混交の議論でした。野球なら外野と言うより、球場の外から野球の試合をじゃまするような議論に見えるものもありました。

 その時、国と東京電力は原子力発電を推進するために、県や発電所立地町村の自治体と住民に、原子力発電所は安全だと説明し説得しました。
 なぜ安全なのか、どうやって安全を維持しているのか、さらに安全性を高めるためどうしているのか、沢山の事を住民に説明し約束しました。国と東京電力が安全性を広報宣伝した内容を、住民はしっかり覚えています。(このとき約束した水準の環境を取り還す事が、事故後の現在、住民が目指す目標です)

 住民は原子力発電所を受け入れるにあたって、経済的な理由だけで決めたのではありません。安全だと言う国と電力会社の説明があったから受け入れたのです。
 原子力発電をめぐる激しい議論のなか、国と東京電力を信用したのです。

 これは国にも東京電力にも、そして住民にも重い事なのです。

 しかし、東京電力は何度も事故のデータを隠したり、報告をすぐしなかったりなど約束を破る事を繰り返しました。そして、違反が指摘されるたび、地元自治体や住民に繰り返さないと約束してきました。
 津波の危険性も、東京電力の社外の国会や地震学者ばかりでなく、自社の社員が国際学会で報告していた事実も明らかになっています。東京電力の言う『想定外』は、知っていながら行動を起こさない、都合が悪いからカウントしないだけの『ご都合主義』とイコールでした。
 そして、今回の事故です。

 この過程を見ると、事故の責任は国と東京電力にあるのでしょうが、本当に国と東京電力だけが100%悪いのでしょうか。
 私たち住民は、国と東京電力に安易に任せ過ぎていなかったのか、信用できない相手を安易に信用してしまったと、反省する余地は全くないでしょうか。須賀川の農民に、原子力発電所事故から避難の途上で亡くなった人々に、私たちは100%被害者だと言いきれるでしょうか。

 広島の原爆記念碑には「あやまちはにどとくりかえしませんから」という碑文があります。
 福島原子力発電所事故の碑文を刻むとしたら、広島と同じような人類の歴史に位置づけて記すべき言葉は何か。

 しかし、今はとにかく先に進まなければ、住民に未来はありません。
 未来は過去からやってきます。そして、過去は未来によって変える事ができます。
 感謝すべき事からも不愉快な事からも目をそらさず原子力発電所と事故を直視し、何故こうなったのか、どこに向かうべきか、互いに自立した主体として、原点を確認して歩み出すべきだと思います。

 (馬上 雅裕)

2011年5月3日火曜日

校庭の放射線量は『年間5ミリレム』を中間点、ゴールは事故前の数値に。

  いわき市では『アトムふくしま』という広報誌が隣組の回覧板に2カ月に1度入ってきます。福島県と原子力発電所立地町と隣接市町村が、原子力広報のために発行している冊子です。1つの隣組に1冊ですから、いつも急いで読んでいます。
(いわき市北部の久之浜地区と四倉地区は各家庭に1冊配布のようです)

 『アトムふくしま』には「年間5ミリレム」という数字と単位で表記された放射線の解説が何度も何度も出ていました。
「原子力発電所から敷地外に出る放射線は、年間5ミリレムで、実際にはそれよりずっと低い」と言う解説です。

 国と東京電力は、住民に30年にわたって原子力発電所の敷地外に出る放射線を年間5ミリレム以下に抑えますと言い続けてきました。

 ですから、年間5ミリレムは国と東京電力が住民と約束していた数字です。現在は単位がシーベルトになって、5ミリレムは0.05ミリシーベルトです。

 国と東京電力には『年間5ミリレム』を守る責任も義務もあります。(もちろん、県も市町村などの原子力発電所周辺自治体にも責任があります)
 このことから考えれば、学校の校庭が年間20ミリシーベルトなど住民には受け入れられない数字です。

 郡山市で校庭の表土を削り取って放射線量を低くする作業を行ったことに対する、枝野官房長官の「必要はない」とのコメントは、原子力発電所周辺住民には妄言としか思えません。

 腹が立つより、唖然としてしまいました。

 ネットでICRPの資料を見たら、校庭の年間放射線の基準として政府が提示した年間20ミリシーベルトは、職業被ばくの実効線量です。女性が妊娠しているときは年間2ミリシーベルトです。また、一般人が一生の間に受ける放射線量当量限度100ミリシーベルトの5分の1を、たった1年で浴びる数値です。(医療などで受ける放射線を除く)

 年間20ミリシーベルトという放射能汚染は過酷で、福島県の年少者に受け入れさせるのは「人道に反する」と非難する学者がいるのもあたりまえです。

  そこで提案です。福島県の住民は国と電力会社が原子力発電所周辺自治体の住民に約束してきた『年間5ミリレム(0.05ミリシーベルト)』を校庭の放射線の中間目標値として要求しましょう。(今年は暫定値として2ミリシーベルトか1ミリシーベルトに妥協するのもやむをえないと思いますが)

 ゴールは『年間0.05ミリシーベルトよりずっと低い、事故前の放射線の数値』です。

 また、これから福島県民は原子力広報誌『アトムふくしま』で住民に示していた自然放射線量の数値を早急に達成することを中間目標にし、事故以前の数値に戻すことをゴールにするよう頑張りましましょう。 

 たとえば食物からの被ばくでは、原子力発電所が事故を起こす前に住んでいた土地に住み、その地域で採れた農林産物、その地域の草を食べて育った牛や馬などの畜産物、そしてその地域の海、川、湖沼で獲れた水産物だけを食べ、その地域を水源とする水だけを飲んで生活しても、「食物から年間0.29ミリシーベルト」(『アトムふくしま』より)であることを中間目標値とし、ゴールは『事故前の数値』です。
 
 福島県や原子力発電所周辺自治体は、住民に発電所から年間5ミリレム(0.05ミリシーベルト)しか放射線を受けないからと、30年も伝えていました。それを上回る放射能汚染が起きてしまった現実を直視してください。
 これまでず〜っと広報宣伝していた原子力発電所が放出する年間線量を5ミリレム(0.05ミリシーベルト)にするために、福島県や原子力発電所周辺自治体は、国と東京電力に誠実に汚染除去するよう強く働きかける責任があります。

 原子力発電所事故のどさくさまぎれで原子力委員会や内閣が知らん顔をするのを、『アトムふくしま』をず〜っと読んでいる福島県の住民は見逃せません。(繰り返しますが、福島県や原子力発電所周辺自治体にも住民に対して責任があります)

  (馬上 雅裕)

2011年4月30日土曜日

原子力発電所事故、国会論戦で気になった事。

 缶コーヒーの宣伝で、「贅沢言うな。いろんなことがこんがらがってこうなっているんだから、今すぐはムリだ!」というCMがありました。


 国会論戦で、聴き応えのあるものが多かったのですが、気掛かりな質問もありました。
 東京電力原子力発電所事故の収束に向けた工程表をめぐる、「この日程でやると言い切らないのは無責任だ」という論調です。
『いろんなことがこんがらがってこうなっているんだから、確約できる訳がない』という事を、百も承知で質問しているのだろうと思いながら聴いていました。


 高レベルの放射能で汚染されている原子力発電所の中で、被ばくと余震の危険の中、最前線で苦闘しているたくさんの人の安全や健康をどう考えているのかと思い、質問している国会議員の態度が『贅沢』というより『傲慢』に感じられました。
 一日も早い事故収束も大切ですが、原子力発電所の最前線で働く人の健康や生命も大切です 


 また住民にとっては一日も早い事故収束とともに、避難先から地元に戻るのに不可欠な、土壌や設備や施設そして建物などの除染策の見通しも大切です。


 未来への希望がなければ、今の苦労は意味がなくなります。 


 自分の町に、自分の村に戻るために、どの段階で何をやるか住民が自分で考えて、除染工程を練り始めるべきです。
 そして町や村に戻る工程表を示しながら『みんな、こうなったらこうするから応援してほしい。』と、住民が政府や東京電力に補償を要求したり、全国や海外に支援を要請するのは、ちっとも贅沢でも傲慢でもないと思います。


 「いろんなことがこんがらがってこうなっていても、自分たちの現在と未来を他人任せにしない事が一番大切だ!」と、国会論戦を聴きながらあらためて思いました。


(馬上雅裕)


検証==政府と東京電力が信用を失った広報=3月12日と13日。



東京電力原子力発電所のレベル7の事故に対する、政府と東京電力の原子力広報を検証すると、事故発生の初期に情報を適切に伝えず、住民を軽く見ていたとしか思えない態度だったことが分ります。

3月12日午後3時26分に、東京電力福島第一原子力発電所で、水素爆発が起きました。
しかし、政府と東京電力は、原子炉建屋で何が起きたのかを、事故発生当初は、迅速に正確に伝えませんでした。

内閣府のネットサイトで記者発表を見直してみました。
3月12日午後の枝野官房長官の会見です。

水素爆発から数時間たっているのに、まだ、何が起きているのか正確に伝えられないと繰り返しています。政府が迅速に状況を把握し評価できない、また、事態を適切に伝えられない情けない姿です。
これは、好意的に慎重であると解釈もできます。
しかし、住民の理解力を侮っている態度と解釈されても仕方ないものです。

東京電力第一原子力発電所の12日午後11時の発表より。
「1号機(停止中)
・原子炉は停止しておりますが、本日午後3時36分頃、直下型の大きな揺れが発生し、1号機付近で大きな音があり白煙が発生したことから、現在、調査中です。」

7時間も前に水素爆発を起こしていながら、どこで何が起こっているのか、住民に正確に迅速に伝えようとしない東京電力の姿がここにあります。

ところがその翌日の13日、1号機建屋の上部が吹き飛び、鉄骨だけになっている映像をテレビのニュースで見て、『白煙、揺れ、大きな音』が爆発であった事を住民は知ります。
政府と東京電力の情報を迅速に出さない態度は、裏目に出ました。
爆発なのに『白煙、揺れ、大きな音』と表現し、事態を小さく見せかけようとしてるのだと住民に分って、信用を失ってしまいました。

さらに、13日の夕方には枝野官房長官が放射線について話す内容がNHKニュースで報道され、長官が放射線に『無知』だと思われるような発言が紹介されます。

3月13日夕方のNHKニュースより
『枝野官房長官は、3号機周辺の放射性物質のモニタリング数値について「モニタリングでは、13日午前10時以降、50マイクロシーベルト前後の数値で安定していたが、午後1時44分ごろから上昇し、1時52分には1557.5マイクロシーベルトを観測した。ただ、その後、午後2時42分のデータでは、184.1マイクロシーベルトに低下している」と述べました。
そして、放射線の数値が一時的に上がった原因については「炉心が水没していない状況になると、放射線の発生がその時間は多くなるので、一時的に数値が上がる」と述べました。』

炉心の核反応による放射線が、原子力発電所周辺の環境放射線量に直ちに影響し、一時的に数値が上がる事はありません。
原子炉とその中の水、格納容器、分厚いコンクリート壁が、放射線を外に出さない構造になっているのです。原子力発電所を見学したことのある工業高校生でも、その時に渡される資料レベルの説明で、この程度のことは分ります。

発電所敷地内の放射線量の数値上昇は、原子炉建屋から放射能が放出され、放射能汚染が発電所境界を越えて広がっていくことを示すものです。 
枝野官房長官の記者会見のニュースは、政府広報を担当している政府高官が原子力発電所の事故を、迅速に正確に把握し伝える能力を持っていないことを映し出しました。
重大な決断や、状況把握が出来ていないのではないかとの疑念も湧きます。

いろいろと言い訳はあるでしょう。
しかし広報では簡潔に正確に
  1. 原子炉内の冷却を制御できていない深刻な事故であること、
  2. 放射能汚染が原子力発電所の外に広がること、
  3. 風向や降雨に注意を呼びかけることなど、住民に危険や健康被害から自分や家族を守る適切な防護方法を伝えながら、
  4. 冷静な対応を呼びかけるべきでした。
政府は、4の冷静な対応を呼びかけましたが、1〜3を迅速に分りやすい情報として伝えることはしませんでした。
これらの結果、事故の初期段階で信用を失った政府と東京電力の広報は、この後の社会混乱の原因となり、大きな損害を社会に与えました。


3月12日以前は事態を小さく見せて時間稼ぎをし、住民が忘れるのを待つような手法が原子力発電の広報で通用したのでしょうが、今回の事故はそれで済まされないと、政府と東京電力には肝に銘じてもらいたいと思います。


(馬上雅裕)

2011年4月27日水曜日

いわき市の露地栽培原木シイタケ出荷制限解除!です。

いわき市の露地栽培の原木シイタケが、4月25日に発表された出荷制限要請から外れました。
福島県全域を対象にした原乳出荷制限(3月21日付)も、いわき市はすでに4月21日(4月16日付)の発表で外れています。


福島県のモニタリング情報からいわき市の農産物(露地栽培)データの一部を抜粋しました。(単位ベクレル/キログラム)

4/23発表(19日調査露地栽培) 
品目/トマト    ヨウ素131→7   セシウム134→16  セシウム137→15


4/13発表(11日調査露地栽培)
品目/ブロッコリー ヨウ素131→160  セシウム134→120 セシウム137→120

4/6発表(3,4日調査露地栽培)
品目/ブロッコリー ヨウ素131→660  セシウム134→340 セシウム137→290

3/23発表(21日調査露地栽培)
品目/ブロッコリー ヨウ素131→8100 セシウム134→870 セシウム137→910



しいたけ 

 Q.販売されている福島県産しいたけを食べてもだいじょうぶですか?
A.福島県では、露地栽培の原木しいたけ、施設栽培の原木しいたけ、菌床栽培のしいたけ、なめこ、まいたけ、エリンギ、えのきたけ等のきのこが生産されています。これらのきのこで施設栽培されているものや、出荷が制限されていない区域の露地栽培の原木しいたけについては、放射性物質が検出されていないか、規制値以下となっています。
 また、福島県では、販売されているしいたけの情報が消費者にわかるように、産地の市町村名や栽培方法を表示することとしています。また、安全なしいたけが流通するよう、県職員の方々等が、適正に表示されているか、出荷が制限されている区域の露地栽培の原木しいたけが流通していないか等について、生産地や流通拠点を巡回して確認することとしています。
 なお、福島県で、露地栽培の原木しいたけの出荷が制限されている区域は4月25日時点で、福島市、伊達市、本宮市、相馬市、南相馬市、田村市、新地町、川俣町、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村及び川内村の17市町村です。

 Q.福島県の17市町村では、露地栽培の原木しいたけだけが出荷制限されているのはなぜですか?
A.福島県では、4月24日までに施設栽培の原木しいたけ、菌床しいたけ、なめこ、まいたけ、エリンギ、えのきたけの66件について、放射性物質の検査が行われました。その結果、暫定規制値を超える放射性物質は検出されませんでした。
 一方、露地栽培の原木しいたけについては、52件のうち14件(いわき市、伊達市、新地町、飯舘村、福島市、南相馬市、川俣町及び本宮市)から暫定規制値を超える放射性物質が検出されました。露地栽培は、屋外にほだ木(原木にしいたけ菌を植えたもの)を立てかけ、外気や日光に触れさせてしいたけを育てる栽培方法です。このため、露地栽培は、大気中にある放射性物質と接触する可能性が施設栽培よりも高いことが考えらえます。こうした調査の結果を受けて、原子力安全委員会の助言を得て4月13日、4月18日及び4月25日に出荷が制限されたものです。


 このうち、いわき市については、4月24日までに放射性物質が暫定規制値を下回るようになったため、4月25日に出荷制限が解除され、4月25日現在では、福島県の17市町村が出荷制限されております。
 
福島県においては今後、露地栽培、施設栽培に関わらず、また出荷が制限されていない区域についても、しいたけ等の放射性物質の検査を行い、その結果については、その都度公表されることとなっております。
 出荷制限の解除については、出荷が制限されている区域において、約1週間毎に検査して、3回連続で放射性物質が一定水準を下回った場合に、原子力災害対策本部において、出荷制限を解除するかどうかの判断がなされます。出荷制限の解除後も、約1週間ごとに検査を実施することとしています。


(馬上雅裕)