東京電力の福島第一原子力発電所2号機の炉内温度が上がっている。安定した冷却ができていない。マスコミが指摘してる80度だの、政府が言い訳している高温を示す温度計の数の問題ではない。不安定な炉の状態が問題なのだ。
「収束したはずじゃなかったの?」と、住民は官房長官の言い訳を聞いて腹を立てる。墓穴を掘る政府の姿に、不信がまた一つ積み上がる。
「『冷温停止』とは通常に稼働している原子炉にたいして使う言葉。事故で谷底に落ちた車を指して『エンジンは止まった』と言っているのと同じ。」と、フランス放射能防護原子力安全研究所のジャック•ルピュサール所長は言った。(パリ共同=松村圭)
政府よりフランス人のシニカルな言葉が現状を言い当てている。
汚染水の漏出、不安定な原子炉冷却などこれだけトラブルが続いても、「ムニャムニャだから、事故じゃない」と政府は言い張る。
トラブル続きでも「ムニャムニャだから、原発は安全だ」と言い張ってきたのと同じことを、野田さんは始めた。
『安全神話』と同じロジックだから、『事故じゃない神話』を作ってしまうことになる。
「原発は安全だ安全だ」と言い張ったばかりに、根本的な改善措置をとれなかった原発推進関係者の轍を踏んでいる。誰が何を言おうと一番大切な『安全を確保』するより、改善もしないで「安全だ安全だ」と『言い張る立場』を確保してしまった反省を、生かしていない。
事故真っ最中の原発近くの汚染されたふるさとに住民が帰還する事をどう受け止めるのか。重い問題なのに、住民票を発行するのに印鑑が必要程度の浅薄な考えで「事故収束」と言って済ます。
哲学のない政治家が首相になっているからこんなことになる。
野田さんは若いし未熟だからしょうがない。浅知恵役人からの入れ知恵で「収束っ!」と言ったんだからと、大目に見るにはあまりに愚かな総理大臣だ。
情けない話だ。