2012年2月26日日曜日

タテ148ミリ、ヨコ107ミリの120ページに511首。

大熊町の佐藤祐禎さんが『歌集 青白き光』(出版 いりの舎 700円税込)を出した。平成16年に短歌新聞社から出した歌集を、昨年12月に『いりの舎』で再版した。タテ148ミリ、ヨコ107ミリ、120ページの小さな文庫に511首が載せられている。佐藤さんは大熊町からいわき市に避難している。


文庫表紙カバーには『青白き光』五首

いつ爆ぜむ青白き光を深く秘め原子炉六基の白亜の列なる

小火災など告げられず原発の事故にも怠惰になりゆく町か

原発が来たりて富めるわが町に心貧しくなりたる多し

原発に勤むる一人また逝きぬ病名今度も不明なるまま

原発に怒りを持たぬ町に住む主張さへなき若者みつつ



原子力発電所のある大熊町で農業をしながら歌い貯めた2300首から選んだ511首だ。


第1首は昭和58年 
娘大学入学

去りゆきし子の匂ひこもるこの部屋をわれは暫く書斎とぞぜむ

最後は平成14年 
東電の組織的隠蔽

いつ爆ぜむ青白き光を深く秘め原子炉六基の白亜の列なる

原子力発電所のある町で何を思いどう向き合って暮らしてきたか、佐藤さんの眼と気概を通し住民のほんとうの姿が描き出されている。