福島県産牛乳は安全なのに、なぜ、いわき市民は不安になったのか?
(bloggerの不具合で最終稿が消えていたので書き直しました)
4月末に、子供が持ち帰ったお知らせで、福島県産牛乳が学校給食に出される事を知った保護者が不安になり、いわき市へ問い合わせが相次いだ騒動がありました。5月に入っても、保護者の不安が解消されない状況が続いていたようです。
いわき市のホームページに、給食で出した牛乳について記事が出ています。
『いわき市の学校給食について』(2011/4/29付)
学校給食につきましては、現在、従来のような献立での提供が行えず、保護者の皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
また、現在はパンと牛乳の提供となっておりますが、保護者の皆様などから、現在提供しております牛乳や今後使用していく食材についてのお問い合わせを頂いているところです。
牛乳につきましては、国や県の検査により安全性が確認された原乳を使用したものが 流通しているところですが、福島県産の原乳につきましても安全性が確 認されたものが流通しているところであり、福島県内の学校へ牛乳を供給する事業者において、福島県産の原乳を使用することとなったところです。
なお、いわき市の学校給食では、4月25日以降に検査された原乳を使用した牛乳が4月27日以降に供給されておりますが、県の緊急モニタリング検査による4月25日及び4月26日の測定結果は「不検出」となっております。
農林水産物の出荷制限やモニタリング検査結果につきましては、福島県のホームページをご覧ください。
本市の学校給食については、これまでも食品衛生法など関係法令を遵守し、食材の品質や衛生管理の徹底に努めながら、安全で安心な給食を子どもたちに提供してきたところであり、今後においてもその方針が揺らぐことはありません。
食品については、国、県が検査に基づき安全性を確認しており、市としては、当然、安全性が確認されたものを学校給食で提供していくものです。
この文書で、保護者の不安は解消されるでしょうか。これで不安が消えるとすれば、いわき市政にたいする理解と信頼が高いと、私は思います。
国の暫定基準値はあっても、いわき市の行政は主体的に市民を守ってくれると日頃から信頼されていないと、市民は疑問を抱きます。
たしかに、いわき市は安全なミルクを出す状況だったし、正確に伝えていたのです。が、情報と知識を伝えるとき、受け取る立場に配慮する事も大切。難しい問題です。
(bloggerの不具合で最終稿が消えていたので書き直しました)
4月末に、子供が持ち帰ったお知らせで、福島県産牛乳が学校給食に出される事を知った保護者が不安になり、いわき市へ問い合わせが相次いだ騒動がありました。5月に入っても、保護者の不安が解消されない状況が続いていたようです。
いわき市のホームページに、給食で出した牛乳について記事が出ています。
『いわき市の学校給食について』(2011/4/29付)
学校給食につきましては、現在、従来のような献立での提供が行えず、保護者の皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
また、現在はパンと牛乳の提供となっておりますが、保護者の皆様などから、現在提供しております牛乳や今後使用していく食材についてのお問い合わせを頂いているところです。
牛乳につきましては、国や県の検査により安全性が確認された原乳を使用したものが 流通しているところですが、福島県産の原乳につきましても安全性が確 認されたものが流通しているところであり、福島県内の学校へ牛乳を供給する事業者において、福島県産の原乳を使用することとなったところです。
なお、いわき市の学校給食では、4月25日以降に検査された原乳を使用した牛乳が4月27日以降に供給されておりますが、県の緊急モニタリング検査による4月25日及び4月26日の測定結果は「不検出」となっております。
農林水産物の出荷制限やモニタリング検査結果につきましては、福島県のホームページをご覧ください。
本市の学校給食については、これまでも食品衛生法など関係法令を遵守し、食材の品質や衛生管理の徹底に努めながら、安全で安心な給食を子どもたちに提供してきたところであり、今後においてもその方針が揺らぐことはありません。
食品については、国、県が検査に基づき安全性を確認しており、市としては、当然、安全性が確認されたものを学校給食で提供していくものです。
この文書で、保護者の不安は解消されるでしょうか。これで不安が消えるとすれば、いわき市政にたいする理解と信頼が高いと、私は思います。
文書には「子供には微量でも放射能で汚染されたミルクを摂取させたくない」と考える保護者に、安心してもらえない要素が3つあります。
- 安全を裏付けるデータが具体的に分りやすく示されていない。(HPにはデータへのリンクがあるが)
- 行政は微量の放射能汚染を許容すると疑われている事に対する、対策や配慮が無い。
- 子供にも親にも拒否する事ができず牛乳の摂取を強制される事態に対する不満への、配慮が無い。
以下で3つを確認してみましょう。
1.いわき市の学校給食のミルクに放射性物質は入っていない。(データを見る)
まず、福島県産牛乳の検査経過です。いわき市の文書にリンクされている福島県産農林水産物の放射能測定の実施結果から、いわき市の原乳調査を約10日ごとに抜粋してみました。
福島県の原乳の調査結果(いわき市 単位Bq/kg)
3/19採取 ヨウ素-131→980 セシウム-134→不検出 セシウム137→ 6.6
3/29採取 ヨウ素-131→ 55 セシウム-134→不検出 セシウム137→不検出
4/ 7採取 ヨウ素-131→ 38 セシウム-134→不検出 セシウム137→不検出
4/ 7採取 ヨウ素-131→ 16 セシウム-134→不検出 セシウム137→不検出
4/19採取 ヨウ素-131→不検出 セシウム-134→不検出 セシウム137→不検出
4/26採取
(乳業工場) ヨウ素-131→不検出 セシウム-134→不検出 セシウム137→不検出
5/10採取
(乳業工場) ヨウ素-131→不検出 セシウム-134→不検出 セシウム137→不検出
福島県内の緊急モニタリング結果では、福島市で4月19日にヨウ素131が17.2Bq/kg検出されたのを最後に、以後すべての地域で不検出です。
乳業工場では、県内産の原乳をブレンドして作ります。県内で検査した牧場の牛乳はどこも不検出。さらに、乳業工場でブレンドした牛乳からも不検出ですから、県が検査していない牧場の原乳にも放射性物質は入っていないと推測できます。
ですから、4/27に学校給食で出された福島県産のミルクは、放射性物質が不検出だと思われます。
しかし、学校給食の乳業工場を調査した結果は公表されていません。
ですから、4/27に学校給食で出された福島県産のミルクは、放射性物質が不検出だと思われます。
しかし、学校給食の乳業工場を調査した結果は公表されていません。
保護者の気持ちを思えば、学校給食ミルクの乳業工場で放射性物質を調査して、結果を保護者に知らせる手間をかける事が、いわき市の行政にとって経費と手間のムダだとは思えません。
2.行政は放射能汚染を許容するのでは?と市民が疑念。
3月に東京都で水道水が放射能汚染のため乳児の摂取制限が行われた時、乳児以外はヨウ素131=300Bq セシウム=200Bqが暫定基準値であると報道があり、行政は、暫定基準を下回っていれば飲んでも大丈夫と広報していました。
さらに、農産物の暫定基準値も同じ数字で広報していたので、今回、原乳が基準値を下回ったので安全を確認した言っても、放射性物質が入っているのではないか、どれだけ入っているのだろうと保護者が不安になったのではないでしょうか。
国の暫定基準値はあっても、いわき市の行政は主体的に市民を守ってくれると日頃から信頼されていないと、市民は疑問を抱きます。
国はヨウ素131=300Bq セシウム=200Bqを摂取制限値としています。いわき市はそれ以下なら放射能に汚染されていても給食に出すのではないか、と保護者が不安になったのです。
「国が…」「県が…」と責任を回避し主体性の無い対応をする、いわき市の行動を保護者は危惧したのです。
3.保護者の意向を置き去り。
子供の予防接種では接種するかどうか保護者に意向確認をしていますが、今回の学校給食の牛乳騒動では、子供の健康に関わる問題なのに保護者の意向は置き去りでした。子供も保護者も飲まない選択肢は与えられないのです。そのため、保護者の理解を得る丁寧さが一層求められるのですが、それが欠けていました。
たしかに、いわき市は安全なミルクを出す状況だったし、正確に伝えていたのです。が、情報と知識を伝えるとき、受け取る立場に配慮する事も大切。難しい問題です。
今回の学校給食の牛乳騒動は、『安全』であっても『安心』できない典型的なケースです。
生命や健康へ危険の恐れがあると不安になり、デマに惑わされやすくなります。行政が丁寧に対応しないと、デマや風評の火種を、行政が自ら作ってしまう危険があります。
福島県産牛乳を学校給食に出す事が、保護者への丁寧な説明を抜いてまで急ぐべきだったか、検証しておくと、いわき市は貴重な教訓を得られるのではないでしょうか。
放射能汚染をめぐる、広報の難しさを象徴する出来事でした。
行政にも、住民にも放射能汚染との戦いは始まったばかりです。
(馬上 雅裕)
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