2011年5月3日火曜日

校庭の放射線量は『年間5ミリレム』を中間点、ゴールは事故前の数値に。

  いわき市では『アトムふくしま』という広報誌が隣組の回覧板に2カ月に1度入ってきます。福島県と原子力発電所立地町と隣接市町村が、原子力広報のために発行している冊子です。1つの隣組に1冊ですから、いつも急いで読んでいます。
(いわき市北部の久之浜地区と四倉地区は各家庭に1冊配布のようです)

 『アトムふくしま』には「年間5ミリレム」という数字と単位で表記された放射線の解説が何度も何度も出ていました。
「原子力発電所から敷地外に出る放射線は、年間5ミリレムで、実際にはそれよりずっと低い」と言う解説です。

 国と東京電力は、住民に30年にわたって原子力発電所の敷地外に出る放射線を年間5ミリレム以下に抑えますと言い続けてきました。

 ですから、年間5ミリレムは国と東京電力が住民と約束していた数字です。現在は単位がシーベルトになって、5ミリレムは0.05ミリシーベルトです。

 国と東京電力には『年間5ミリレム』を守る責任も義務もあります。(もちろん、県も市町村などの原子力発電所周辺自治体にも責任があります)
 このことから考えれば、学校の校庭が年間20ミリシーベルトなど住民には受け入れられない数字です。

 郡山市で校庭の表土を削り取って放射線量を低くする作業を行ったことに対する、枝野官房長官の「必要はない」とのコメントは、原子力発電所周辺住民には妄言としか思えません。

 腹が立つより、唖然としてしまいました。

 ネットでICRPの資料を見たら、校庭の年間放射線の基準として政府が提示した年間20ミリシーベルトは、職業被ばくの実効線量です。女性が妊娠しているときは年間2ミリシーベルトです。また、一般人が一生の間に受ける放射線量当量限度100ミリシーベルトの5分の1を、たった1年で浴びる数値です。(医療などで受ける放射線を除く)

 年間20ミリシーベルトという放射能汚染は過酷で、福島県の年少者に受け入れさせるのは「人道に反する」と非難する学者がいるのもあたりまえです。

  そこで提案です。福島県の住民は国と電力会社が原子力発電所周辺自治体の住民に約束してきた『年間5ミリレム(0.05ミリシーベルト)』を校庭の放射線の中間目標値として要求しましょう。(今年は暫定値として2ミリシーベルトか1ミリシーベルトに妥協するのもやむをえないと思いますが)

 ゴールは『年間0.05ミリシーベルトよりずっと低い、事故前の放射線の数値』です。

 また、これから福島県民は原子力広報誌『アトムふくしま』で住民に示していた自然放射線量の数値を早急に達成することを中間目標にし、事故以前の数値に戻すことをゴールにするよう頑張りましましょう。 

 たとえば食物からの被ばくでは、原子力発電所が事故を起こす前に住んでいた土地に住み、その地域で採れた農林産物、その地域の草を食べて育った牛や馬などの畜産物、そしてその地域の海、川、湖沼で獲れた水産物だけを食べ、その地域を水源とする水だけを飲んで生活しても、「食物から年間0.29ミリシーベルト」(『アトムふくしま』より)であることを中間目標値とし、ゴールは『事故前の数値』です。
 
 福島県や原子力発電所周辺自治体は、住民に発電所から年間5ミリレム(0.05ミリシーベルト)しか放射線を受けないからと、30年も伝えていました。それを上回る放射能汚染が起きてしまった現実を直視してください。
 これまでず〜っと広報宣伝していた原子力発電所が放出する年間線量を5ミリレム(0.05ミリシーベルト)にするために、福島県や原子力発電所周辺自治体は、国と東京電力に誠実に汚染除去するよう強く働きかける責任があります。

 原子力発電所事故のどさくさまぎれで原子力委員会や内閣が知らん顔をするのを、『アトムふくしま』をず〜っと読んでいる福島県の住民は見逃せません。(繰り返しますが、福島県や原子力発電所周辺自治体にも住民に対して責任があります)

  (馬上 雅裕)

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