2012年9月15日土曜日

追いこまれた原発。原因は東京電力経営者と政府の愚行。

2030年代に日本の原子力発電をゼロにする方針を、政府が打ち出した。
現実を直視すれば止むを得ない。野田政権の原発事故対応としては、珍しくまともだ。

原子力発電を続けるには、推進する人達が信頼されることが前提だが、東京電力福島第一原発事故の東京電力と政府の対応は、不信を助長する姿が前面に出ていた。

とりわけ東電の勝俣前会長の事故原因が『想定外』という主張と、野田総理大臣の説明不足が致命的だった。

想定外という勝俣前会長の表明は、事故が進行中で原因も状況もつかめないのに、東京電力が会社の保身を最優先とするメッセージとなり、数十万人の原発事故被災難民を生み出している現実の深刻さを受け止めない、不誠実で浅ましい経営者である事を白日の下に晒した。

原発の過酷事故は取り返しのつかない悲惨なものになる。それにどう対処するかが最重要課題で、電力会社の存続や損得などは、後回しにすべきものだ。
そんな判断もできない経営トップを押し戴き、社内で経営者の責任を問う事もできない東京電力の体質は危険で、原発の運転をさせられない。
東京電力には福島だけではなく、新潟の原発も運転させてはいけないと思われても仕方がない。

官僚が書いた脚本は駄作だった。
野田総理大臣は壊れた原子炉が冷温停止したと言って世界の原発関係者の笑い者になり、収束していない事故を収束したと言いくるめようとし、夏の電力不足というデマにも冷静な判断が出来ず、福島原発事故調査が終らないのに大飯原発を再稼働させ、反・脱原発の火に油を注いだ。
同じ脚本でも演出演技で、見られる作品にできる可能性はあるが、野田総理は舌禍を怖れマスコミから逃げる姑息な戦術で政権の長期化を図っている。
政策を丁寧に説明するより、政権延命を優先する本末転倒を選択しているから、脚本の酷さを修正出来ず、信頼を回復できない。
彼は信頼を回復するより、原発安全信仰復活の道を選んで歩いた。

国会事故調は報告書で、今回の事故は想定できるものだった、事故は収束していないと、二人の言動を厳しく批判している。

人類が核エネルギーを手にし、使い出して半世紀が経った。戦争や麻薬と同じで、身を滅ぼすと知りながら、決意するだけでは人類は放棄しない。 

原発事故に真摯に向き合い悲劇を乗り越え、原発を安全に使い、人間が必ず繰り返す将来の悲劇をいかに最小限にするか、人類にとって貴重な英知をフクシマの事故から得る道を、東電の経営者と野田政権の愚行が閉ざした。

日本の原発関係者は、自分達で原発の墓穴を掘り、自分達の手で葬った。

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